ビジネスマナーに合った言葉遣いと例文をシーン別にわかりやすく解説

ビジネス

ビジネスの現場では、適切な言葉遣いや敬語の使い方が、相手との信頼関係を築くうえで非常に重要です。特に社外の取引先や目上の人とやり取りをする場面では、丁寧な言葉遣いが求められます。しかし、どのように表現すればよいのか迷うことも少なくありません。

この記事では、ビジネスマナーに基づいた正しい言葉遣いを、具体的な例文や一覧形式でわかりやすく紹介します。メール・電話・会議などのシーン別に使えるフレーズや注意点も盛り込みながら、自然で失礼のない会話や文章を目指すためのヒントをまとめています。

社会人としての基礎をしっかり固めたい方はもちろん、言い回しの引き出しを増やしたい方にも役立つ内容です。日々の業務で自信を持って言葉を使えるよう、一緒に確認していきましょう。

この記事を読んでわかること
  • ビジネスマナーに合った適切な言葉遣いの基本
  • 敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)の使い分け
  • シーン別の言葉遣いと例文
  • クッション言葉や依頼表現などの丁寧な言い回し

ビジネスマナーに合う言葉遣い例文集

●よく使う敬語の一覧表
●ビジスメールでの言葉遣いと例文
●電話対応で失礼にならない例文
●目上の人に使える言い回し一覧

よく使う敬語の一覧表

ビジネスシーンでは、適切な敬語を使うことで相手に対する敬意を示せます。特に取引先や目上の人との会話では、言葉遣いが信頼関係に直結することも少なくありません。

敬語には主に「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。それぞれの役割を簡単に整理すると、尊敬語は相手の行動を高める言い方、謙譲語は自分の行動をへりくだって表現する言い方、丁寧語は語尾を整えることで丁寧にする言い方です。

基本動詞 尊敬語(相手を立てる) 謙譲語(自分をへりくだる) 丁寧語(語尾を丁寧に)
言う おっしゃる 申し上げる 言います
行く いらっしゃる 伺う/参る 行きます
来る いらっしゃる/お越しになる 参る/伺う 来ます
いる いらっしゃる おる います
見る ご覧になる 拝見する 見ます
聞く お聞きになる 伺う/拝聴する 聞きます
会う お会いになる お目にかかる 会います
する なさる いたす します
食べる/飲む 召し上がる いただく 食べます/飲みます
知っている ご存じだ 存じ上げている 知っています
思う お思いになる 存じる/存じ上げる 思います
あげる —(※使わない) 差し上げる あげます
もらう —(※使わない) いただく もらいます
借りる —(※使わない) 拝借する 借ります
貸す —(※使わない) お貸しする 貸します

敬語の使い分けに慣れていない人は、一覧表などを手元に置き、日常的に見返すことをおすすめします。これにより、自然に言葉の選び方が身につくようになります。

ただし、形式ばかりを気にしていると、不自然な文章になったり、意味が伝わりづらくなることもあります。正確さとわかりやすさのバランスを意識しながら使いましょう。

ビジスメールでの言葉遣いと例文

ビジスメールでの言葉遣いと例文

ビジネスメールでは、丁寧かつ簡潔な言葉遣いが求められます。口頭とは異なり、文字だけでやり取りするため、誤解が生まれないような表現を心がけることが重要です。

まず基本として、文頭のあいさつや名乗り、本文の目的、そして締めの言葉まで、一定の流れがあります。それぞれのパートでよく使われる言い回しは以下の通りです。

  • 【冒頭のあいさつ】
    お世話になっております。
    いつもご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
  • 【本文の目的提示】
    ○○についてご案内申し上げます。
    △△の件につきまして、以下の通りご連絡いたします。
  • 【締めの言葉】
    何卒よろしくお願い申し上げます。
    ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

このように、定型的なフレーズを覚えておくことで、スムーズにメールを作成できるようになります。

一方で、言葉を丁寧にしすぎて文が冗長になると、相手にとって読みにくくなることもあります。そのため、読み手の立場に立ち、適度な長さとわかりやすさを意識しましょう。

電話対応で失礼にならない例文

電話対応で失礼にならない例文

電話対応では、相手の顔が見えない分、言葉遣いやトーンに気を配ることが大切です。少しの言い回しの違いが、印象を大きく左右することがあります。

1. 電話を受けたときの第一声
「お電話ありがとうございます。○○株式会社の△△でございます。」
「お電話ありがとうございます。株式会社エイワの田中でございます。」
2. 相手の名前を聞き返すとき
「恐れ入りますが、もう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「大変恐れ入りますが、お名前をフルネームでお伺いしてもよろしいでしょうか?」
3. 担当者が不在のときの伝え方
「あいにく○○はただいま席を外しております。」
「あいにく山本は只今外出中で、16時頃に戻る予定でございます。」
4. 折り返し連絡することを伝えるとき
「○○が戻りましたら、こちらからお電話を差し上げます。」
「担当の佐藤が戻りましたら、折り返しご連絡させていただきます。」
5. 伝言を預かるとき
「よろしければ、私がご用件を承ります。」
「ご伝言がございましたら、私が承ります。」
6. 電話を保留にするとき
「確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか。」
「恐れ入りますが、確認いたしますのでそのまま少々お待ちくださいませ。」
7. 担当者に電話をつなぐとき
「○○におつなぎいたしますので、少々お待ちくださいませ。」
「営業の高橋におつなぎいたしますので、そのままお待ちいただけますか?」
8. 相手の話が聞き取れなかったとき
「申し訳ありません、少しお電話が遠いようでして…」
「恐れ入ります、少々お電話が遠いようでお声が聞き取りづらくなっております。」
9. 電話をかけた際の名乗り方
「いつもお世話になっております。○○株式会社の△△と申します。」
「いつもお世話になっております。株式会社セイリョウの木村と申します。」
10. 電話を切る前の挨拶
「それでは失礼いたします。」
「ご対応ありがとうございました。それでは、失礼いたします。」

このようなケースごとの表現を覚えておくと、電話応対で慌てることが減り、相手にも信頼感を与えることができます。ほかにもシーンに応じた言い回しが必要であれば、お気軽にお知らせください。

目上の人に使える言い回し一覧

目上の人に使える言い回し一覧

目上の人に対しては、言葉選び一つひとつが評価につながる可能性があります。過剰になりすぎず、かつ失礼のない表現を使うことが求められます。

シーン・意味 一般的な表現 目上の人向けの言い回し
知っている 知っている ご存じでいらっしゃる
聞く 聞く お伺いする/お聞かせいただく
見る 見る ご覧になる
言う 言う おっしゃる/申し上げる
行く 行く 伺う/お越しになる
来る 来る いらっしゃる/お越しになる
する する なさる/いたす
食べる/飲む 食べる/飲む 召し上がる
もらう もらう いただく
あげる(与える) あげる 差し上げる
わかりました わかった 承知いたしました/かしこまりました
ありがとうございます ありがとう 恐れ入ります/ありがとうございます
すみません(謝罪) すみません 申し訳ございません/失礼いたしました
忙しいところごめんなさい 忙しいところすみません お忙しいところ恐れ入ります
時間をもらう 時間をもらう お時間を頂戴できますでしょうか
どうしますか? どうする? いかがなさいますか?
よろしくお願いします よろしく 何卒よろしくお願い申し上げます
了解です わかった 承知いたしました/かしこまりました
確認しました チェックした 確認させていただきました

言葉は敬意を伝える道具でもあります。必要以上にかしこまる必要はありませんが、相手との関係性に応じた言い回しを心がけることが、円滑な人間関係につながっていきます。

言葉遣いの例文で学ぶビジネスマナー

言葉遣いの例文で学ぶビジネスマナー

●社内連絡で使う言葉遣いと例文
●謝罪の言葉遣いと例文
●会議で役立つ敬語と使い方例文
●クッション言葉の使い方一覧表
●初対面の挨拶での言葉遣いと例文
●依頼文の丁寧な言い回し例文

社内連絡で使う言葉遣いと例文

社内での連絡には、過剰な敬語よりも、簡潔で丁寧な言葉遣いが求められます。特にメールやチャットツールを使う場合、相手にストレスを与えず、必要な情報を分かりやすく伝える表現が重視されます。

1. 用件を伝える(業務連絡)

明日の会議についてご連絡いたします。
開始時間は10時です。

2. 確認を依頼する

資料を添付いたしましたので、ご確認のほどお願いいたします。

3. 資料送付を伝える

本日の打ち合わせ資料をお送りいたします。
ご査収ください。

4. 不在・遅刻の連絡

体調不良のため、本日は在宅勤務とさせていただきます。

5. 進捗報告をする

〇〇プロジェクトの設計フェーズが完了いたしました。

6. 上司への相談

来期の体制について、ご相談させていただきたいことがございます。

7. 同僚にお礼を伝える

資料の作成ありがとうございました。
とても助かりました。

8. 依頼をする

お手数をおかけしますが、今週中にご対応いただけますでしょうか。

9. スケジュール調整を依頼

来週の打ち合わせについて、ご都合の良い日程をお知らせください。

10. 返信が遅れた場合の謝罪

ご返信が遅くなり申し訳ございません。
内容、確認いたしました。

日常的なやり取りの中でも、こうした言葉遣いを意識することで、社内の信頼関係がよりスムーズに築かれます。

謝罪の言葉遣いと例文

謝罪の言葉遣いと例文

謝罪の際には、相手の立場や状況に応じた言葉を選ぶことが重要です。単に「すみません」と言うだけでは不十分なケースも多く、誠意が伝わる言い回しを選ぶ必要があります。

1. 返信が遅れた場合
「ご返信が遅くなり、誠に申し訳ございません。」
2. ミスを報告する場合
「こちらの手違いにより、ご迷惑をおかけし、大変申し訳ありませんでした。」
3. 約束や納期を守れなかった場合
「納品が遅れましたこと、心よりお詫び申し上げます。」
4. お客様への対応に不備があった場合
「不快な思いをさせてしまい、深く反省しております。誠に申し訳ございません。」
5. 電話に出られなかった場合
「お電話に出られず、失礼いたしました。折り返しご連絡いたします。」
6. 会議の時間に遅れた場合
「お待たせしてしまい、大変申し訳ございません。すぐに参加させていただきます。」
7. 添付漏れ・資料不備があった場合
「添付ファイルが不足しておりました。大変失礼いたしました。再送させていただきます。」
8. 誤った情報を伝えてしまった場合
「先ほどの内容に誤りがございました。訂正してお詫び申し上げます。」
9. 無断で予定変更した場合
「事前にご連絡できず申し訳ありません。日程を再調整させていただけますでしょうか。」
10. 二重送信や重複連絡をした場合
「同じ内容を重ねてお送りしてしまい、失礼いたしました。以後注意いたします。」

謝罪表現では、過剰な言い訳をせず、非を認めた上で次の対応を明確に示すことが信頼回復の第一歩になります。必要に応じて、フォローの表現も添えると丁寧です。

一方で、「すみませんが~」といった謝罪と依頼を同時にする表現は、誤解を招くことがあるため慎重に使うべきです。謝罪はまず謝罪として、しっかりと区切って伝えるのが基本です。

会議で役立つ敬語と使い方例文

会議で役立つ敬語と使い方例文

会議の場では、発言の内容だけでなく、言い回しにも気を配る必要があります。自分の意見を述べたり、他人の意見に賛同・反対したりする際の敬語表現を身につけておくと安心です。

1. 会議を始めるとき
「それでは、定刻となりましたので会議を始めさせていただきます。」
2. 発言を求めるとき
「ご意見をお持ちの方は、ぜひお聞かせください。」
3. 議題に入る前の一言
「本題に入る前に、簡単に背景を共有させていただきます。」
4. 賛同を表明するとき
「私も○○さんのご意見に賛成です。その理由は~です。」
5. 意見を述べるときの前置き
「個人的な意見にはなりますが、○○と考えております。」
6. 議論が長引いたときのまとめ
「この件は一旦ここで区切り、後日再度検討するのはいかがでしょうか。」
7. 他者の発言を引き継ぐとき
「○○さんのお話を受けて、補足させていただきます。」
8. 会議の進行を促すとき
「お時間も限られていますので、次の議題に移らせていただきます。」
9. 反論を丁寧に伝えるとき
「ご意見はよく理解できますが、別の視点から見るとこのような考え方もあるかと思います。」
10. 結論を明確に伝えるとき
「それでは、本件は○○という方向で進めるということでよろしいでしょうか。」
11. 話を要約するとき
「つまり、本件は○○という方向で進めるという理解でよろしいでしょうか。」
12. 資料に言及するとき
「お手元の資料の3ページをご覧ください。」
13. 質問をする際の前置き
「確認のために一点、質問させていただいてもよろしいでしょうか。」
14. 話を戻すとき
「話が少し逸れてしまいましたので、本題に戻したいと思います。」
15. 議論を締めるとき
「この件につきましては、以上でよろしいでしょうか。」
16. 決定事項をまとめるとき
「本日決定した内容は、○○の実施ということで一致しております。」
17. 次回の予定を伝えるとき
「次回の会議は○月○日を予定しております。」
18. 会議を終えるとき
「以上をもちまして、本日の会議を終了いたします。お疲れさまでした。」

こうした表現を一覧表としてメモしておけば、急な発言にも落ち着いて対応できるようになります。発言の内容と同じくらい、伝え方が印象に残ることを意識しておきたいところです。

クッション言葉の使い方一覧表

クッション言葉の使い方一覧表

クッション言葉とは、依頼や断りなどの直接的な表現の前に添えることで、相手に配慮した印象を与えるための言い回しです。日常のビジネスシーンで活用することで、やわらかく丁寧な印象を与えることができます。

クッション言葉 用途の例(文頭の使い方) 説明
恐れ入りますが 「恐れ入りますが、○○していただけますでしょうか。」 丁寧に依頼・確認したいときに使う
お手数ですが 「お手数ですが、ご確認をお願いいたします。」 相手の労力を気遣う表現
差し支えなければ 「差し支えなければ、詳細をご教示いただけますか。」 相手の判断を尊重しつつ尋ねるとき
ご面倒でなければ 「ご面倒でなければ、資料をお送りいただけますか。」 相手に負担をかける依頼を丁寧に伝えるとき
失礼ですが 「失礼ですが、貴社のご意向を再確認させていただけますか。」 デリケートな質問・発言をするときに前置きとして使う
念のため 「念のため、再度資料を添付いたします。」 確認や補足をやわらかく伝えるとき
よろしければ 「よろしければ、今後のスケジュールも共有させていただきます。」 提案や提言を遠慮がちに伝えるとき
お忙しいところ恐縮ですが 「お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただけますでしょうか。」 相手の都合を配慮しつつ依頼・連絡を行うとき
ご迷惑でなければ 「ご迷惑でなければ、お時間をいただけますか。」 相手の不快感や負担に配慮する表現
差し支えなければ 「差し支えなければ、○○についてもご教示ください。」 重ねて依頼をする際にやわらかく伝える表現

クッション言葉を適切に使うことで、文章全体が丁寧で柔らかい印象になります。ただし、使いすぎるとまわりくどく聞こえることもあるため、場面や相手に応じた使い分けが求められます。要点を伝えることを優先しつつ、適度にクッション言葉を加えるのが効果的です。

初対面の挨拶での言葉遣いと例文

初対面の挨拶での言葉遣いと例文

初めて会う相手に対しては、丁寧な言葉遣いと礼儀正しい挨拶が基本となります。第一印象がその後の関係を左右することもあるため、慎重に言葉を選びましょう。

はじめまして、○○株式会社の△△と申します。
→ ビジネスでの初対面の基本的な挨拶です。名乗る順番に注意し、会社名・氏名の順で伝えます。
本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。
→ アポイントや会議の冒頭などで、相手の時間を尊重する気持ちを伝える表現です。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
→ 名刺交換の締めや会話の終わりに使う、定番の丁寧な挨拶です。
不慣れな点もございますが、精一杯努めてまいります。
→ 自己紹介時などで、自分の立場や状況を謙虚に伝えるときに適しています。
まずは簡単に自己紹介させていただきます。
→ 会議や商談の冒頭で、自分について話す前に前置きとして使うことで、丁寧な印象を与えます。

このような表現を使うことで、初対面でも礼儀正しく、信頼を得やすくなります。

ビジネスマナーを学ぶための言葉遣いと例文まとめ

ビジネスマナーにおける言葉遣いは、相手への敬意を示し、信頼関係を築くうえで欠かせない要素です。特に社会人としては、場面ごとにふさわしい敬語や言い回しを正しく使い分ける必要があります。尊敬語・謙譲語・丁寧語の基本を理解し、一覧表などで日常的に確認する習慣を持つことで、自然な敬語表現が身につきます。

また、ビジネスメールや電話応対、会議での発言、謝罪、初対面の挨拶など、具体的なシーンに応じた例文を覚えておくと実務で非常に役立ちます。さらに、依頼文や社内連絡などでは、簡潔でありながらも丁寧な表現が求められるため、クッション言葉を効果的に活用することがポイントです。

形式に偏りすぎると、かえってわかりづらくなる場合もあるため、「正確さ」と「わかりやすさ」のバランスを意識しましょう。紹介した例文や一覧を活用しながら、日々の業務の中で実践し、自分の言葉として定着させていくことが、ビジネスマナーの向上につながります。