誰かから親切に物をいただいたり、勧められたりしたときに「いらない」と伝えるのは、意外と難しいものです。相手の気持ちを大切にしながら、角が立たないように断るには「丁寧な言葉選び」が欠かせません。
特に、いらないものを断る場面は日常生活だけでなく、ビジネスのやり取りやメールでの連絡にも多くあります。伝え方を誤ると関係に気まずさが残ってしまうため、状況ごとに適切な断り方を知っておくことが大切です。
この記事では、家族や友人、ご近所とのやり取りから、上司や取引先へのビジネスシーンまで幅広く活用できる「いらない」と伝える丁寧な断り方を例文付きで紹介します。すぐに使えるメール文例もまとめていますので、実際の場面で迷わず言葉を選ぶための参考にしてください。
- いらないものを丁寧に断る基本的な流れ
- 家族・友人・ご近所など相手別の断り方の例文
- 上司や取引先などビジネスで使える敬語表現やメール文例
- 断り方で失礼にならないための注意点
いらないを丁寧に伝える断り方例文
●前置きをしてから断る丁寧な言い方
●感謝を添えるいらないものの断り方
●家族や親戚にいらないと伝える例文
●義理の母からのいらない贈り物の断り方
●ご近所からのいらないお裾分けを断る
いらないものを断る基本の流れ
いらないものを断るときは、いきなり「いらない」と伝えるのではなく、段階を踏んで話すと相手に失礼なく伝えられます。
1. まず感謝を伝える
いらないと感じていても、相手は「良かれと思って」渡そうとしているケースが多いです。その気持ちを受け止めるために、最初に「ありがとうございます」などの感謝を添えることが大切です。
例:「お気遣いいただきありがとうございます。」
2. 断る理由を簡潔に述べる
なぜ受け取れないのかを短く説明すると、相手も納得しやすくなります。理由は正直すぎる必要はなく、無理のない範囲で伝えるのがポイントです。
例:「もう同じものを持っているので…」
例:「最近は食事に気をつけていて…」
3. 替わりの言葉でやわらげる
そのまま「いりません」と言うと角が立ちやすいため、受け取れないことをやわらげる言い回しを添えると印象が柔らかくなります。
例:「お気持ちだけで十分です。」
例:「またの機会にぜひお願いいたします。」
4. 最後にもう一度感謝で締める
断った後にもう一度「ありがとうございます」と添えることで、断り方が丁寧に感じられます。最後にお礼を言って終えることで関係が良好に保てます。
例:「本当にありがとうございます。お気持ちがとても嬉しいです。」
前置きをしてから断る丁寧な言い方
丁寧に断るためには、まず前置きの言葉を添えることが重要です。前置きは「せっかくのお心遣いにも関わらず」や「いただきたい気持ちは山々ですが」といった表現が使えます。いきなり否定するのではなく、相手の厚意を受け止めたうえで断る姿勢を示せるからです。
その後に「実は同じものをすでに持っておりまして」「今は家を片付けていて新しいものを増やせないんです」と理由を簡単に伝えると、断りが自然になります。こうした前置きを挟むことで、相手に「気持ちはありがたく思っている」と理解してもらいやすくなります。
感謝を添えるいらないものの断り方
断る場面では、最後に感謝の言葉を添えることで印象が和らぎます。例えば「本当にありがとうございます。ただ、今回は遠慮させていただきます」と言えば、相手の思いに敬意を示しつつ断れます。また「お気遣いいただいてうれしいです」「その気持ちだけで十分ありがたいです」と伝えると、物を受け取らなくても気持ちは受け取っていると相手に伝わります。
感謝の言葉を添えるだけで、断りそのものが冷たい印象にならず、人間関係を保ちながら不要なものを断ることができます。
家族や親戚にいらないと伝える例文
身近な家族や親戚に「いらない」と伝えるときは、関係が近いからこそ気まずくならないように工夫が必要です。
①洋服を勧められたとき
②食べ物をもらいすぎたとき
③趣味に合わない雑貨をもらいそうになったとき
④子どもへのおもちゃをもらいすぎるとき
⑤実家から家具を譲られそうになったとき
⑥化粧品やスキンケア用品を勧められたとき
⑦旅行土産を渡されそうになったとき
⑧本や雑誌をまとめて渡されるとき
⑨食器やキッチン用品を譲られそうになったとき
⑩季節外れの衣類や寝具を渡されるとき
義理の母からのいらない贈り物の断り方
義理の母からの贈り物は断りづらいですが、感謝 → 事情 → 丁寧に辞退 の流れを守ると角が立ちにくくなります。
①洋服をもらいそうなとき
②お菓子や食べ物を大量にもらうとき
③バッグなどのファッション小物を勧められたとき
④高価な化粧品を渡されそうなとき
⑤子どもへのおもちゃをたくさんもらうとき
⑥季節ごとの雑貨や飾りをもらいそうなとき
⑦キッチン用品や食器を渡されるとき
⑧旅行土産を勧められたとき
⑨健康器具やサプリを渡されそうなとき
⑩家具や大きな家電を譲られそうなとき
義理の母への断り方は、まず感謝をしっかり伝えることが最優先です。そのうえで「収納できない」「すでに持っている」「使いこなせない」といった納得しやすい理由を添えると、関係を保ちながら「いらない」と伝えられます。
ご近所からのいらないお裾分けを断る
ご近所からのお裾分けや差し入れを断るときは、今後の付き合いを考えて丁寧さが欠かせません。
①野菜を大量にもらいそうなとき
②手作り料理をもらうとき
③お菓子をまとめてもらうとき
④果物を箱ごと渡されそうなとき
⑤飲み物やお酒をもらうとき
⑥保存食品をまとめて渡されるとき
⑦手作り漬物をもらうとき
⑧お祭りやイベント帰りのお裾分けを勧められたとき
⑨揚げ物や揚げ菓子をまとめてもらうとき
⑩季節ごとの保存食を大量に勧められたとき
どのケースでも、「ありがとう」の一言を先に伝えるだけで印象は大きく変わります。その後に「食べきれない」「置き場所がない」「家族の都合で難しい」といった理由を添えると、ご近所付き合いを保ちながら断ることができます。
ビジネスで使えるいらない丁寧な断り方例文
●同僚や友人へのいらないものの断り方
●ビジネスメールでのいらない例文
●会議や提案をいらないと伝える丁寧な言い方
●断り方を間違えないための注意点
上司や取引先にいらないを伝える敬語表現
上司や取引先に「いらない」と伝える場合は、直接的な言葉ではなく敬語を使って柔らかく表現することが大切です。
① 上司から資料やコピーを追加で渡されそうなとき
② 取引先から販促品を渡されそうなとき
③ 上司から昼食のお誘いを受けたが予定があるとき
④ 取引先からサンプル商品を大量に渡されそうなとき
⑤ 上司から追加の業務ツールを勧められたとき
同僚や友人へのいらないものの断り方
同僚や友人からの申し出を断るときは、かしこまりすぎる必要はありませんが、感謝を伝えてから断るのが基本です。
① 同僚からお菓子を分けてもらったとき
② 友人から着なくなった服を譲られそうになったとき
③ 同僚から不要な文房具を勧められたとき
④ 友人からコスメを使わないかと聞かれたとき
⑤ 同僚から趣味に関するグッズを譲られそうになったとき
ビジネスメールでのいらない例文
メールで断る際は、文章のトーンを落ち着かせ、失礼のない表現を心がけましょう。
① 定例資料が不要な場合
〇〇様
いつも資料をご準備いただきありがとうございます。
本件につきましては、既存のデータで十分確認できておりますので、追加の資料作成は不要でございます。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
② サンプル商品を断る場合
〇〇様
ご丁寧にサンプルをご提案いただきありがとうございます。
大変恐縮ですが、現在の製品で十分対応できておりますので、今回は辞退させていただきます。
また機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
③ 会議の招集を断る場合
〇〇様
お声がけいただきありがとうございます。
本件についてはメールでの情報共有で問題ございませんので、会議の設定は不要かと存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。
④ 新規提案を辞退する場合
〇〇様
このたびはご提案をいただき、誠にありがとうございます。
現状の計画にて対応可能でございますので、今回はご遠慮させていただければ幸いです。
また別の機会にぜひご相談できればと存じます。
⑤ 複数回の確認依頼を断る場合
〇〇様
いつもご確認いただきありがとうございます。
すでに十分な情報をいただいておりますので、追加のご確認は不要でございます。
引き続きよろしくお願い申し上げます。
メールでは直接的な「いらない」という言葉を避け、婉曲的に伝えることがポイントです。
会議や提案をいらないと伝える丁寧な言い方
会議や提案を断る場合は、相手の時間や労力を尊重しながら丁寧に伝えることが重要です。
① 定例会議が重複している場合
② 提案が既存の企画と重なっている場合
③ 急な会議招集が入った場合
④ 外部からの新規提案を受けたとき
⑤ 会議の回数が多すぎると感じるとき
断り方を間違えないための注意点
断るときに気をつけたいのは、相手の気持ちを否定しないことです。ストレートに「いらないです」と言うと冷たく聞こえるため、感謝や前置きを添えてやわらげることが欠かせません。
また、言い訳を長く並べすぎると不自然に感じられるので、理由は簡潔に伝えるのが望ましいです。さらに、相手の立場によって言葉遣いを調整することも重要です。上司や取引先には敬語を、友人や同僚にはフランクな言葉を選ぶと、状況に合った断り方になります。
最後に必ず「ありがとうございます」「お気持ちがうれしいです」と感謝を示せば、誤解や不快感を防ぐことができます。
「いらない」を丁寧に伝える断り方例文まとめ
「いらない」と伝える場面は、家庭や親戚、義理の母、近所づきあい、そしてビジネスシーンまで幅広く存在します。
どのケースでも大切なのは、相手の気持ちを否定せず、まず「ありがとうございます」と感謝を伝えること。そのうえで「置き場所がない」「すでに持っている」「社内規定で受け取れない」などの簡潔で納得感のある理由を添え、「今回は遠慮させていただきます」とやわらかい言葉で締めくくることです。
そうすることで人間関係を損なうことなく、自分の立場も守ることができます。断り方は一度身につければさまざまなシーンに応用できますので、ぜひ日常の中で活用してみてください。「いらない」を丁寧に伝えることで、相手も自分も気持ちよくやり取りできるようになります。